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2005/03/13 「青い背広の・・・」

大阪場所が始まると、いよいよ春・・・
 
今の職業に就く前に、銀行でのOL生活を経験している。
大阪・茨木の寮で、OL1年生としての生活を始めたときも、近所に、お相撲さんの姿を見た。
もう、彼此20年以上も前の話だが・・・

好きな髪形、服の色、本来持つ人の性格などというものは
基本的に一生変わらないものではないのだろうか・・・
先般の、カラー診断も、自分に当たる四季は、一生変わらないものだと聞く。
同窓会に参加した時も、髪型が、皆、当時と殆ど変わらないことがおかしく、興味深かった。
私も、時々ばっさり短くなるが、結局ウエーブのセミロングに落ち着いてしまう。
さて、そのOL時代・・・。1年が過ぎた頃、私も人並みに職場の人に恋をした。
男性的なすっきりとした風貌に、鮮やかな華紺の背広がよく似合う、同じ課の先輩だった。
 忙しすぎる職場で、プレッシャーを背負う姿を、痛々しく気遣う心が、恋に変わった。
彼女は既にいたし、打ち明けることすらできない、OL時代の辛いハツコイだった。
1年半後、私に転勤の期が訪れた。職場も住まいも変わる大掛かりな転勤・・・
落ち込む私を見かねた、彼と親しい女性の先輩が、この恋の話を知り、
不憫に思って1度だけ、電話で話す機会をつくってくれた。
長い沈黙の後・・・結局は、『お元気で・・』としか言えなかったけれど・・・

時は過ぎた。私が銀行を辞し、服飾の世界に転向して、10数年以上の歳月が過ぎた。
未来に展望が見えず、無口だった二十歳そこそこの暗い娘は、
やりがいのある、好きな仕事に奔走する一端のキャリア・ウーマンに変わっていた
ある日、納税に銀行の窓口に立ち寄った。何気なく奥を見たとき・・・
青い背広を着たその男性は、永い職場生活で風貌こそ変われ・・・
まぎれもなく、あのときの先輩だった。『毎日、きっと辛いお酒を呑んでいるのだろうな・・・』
表情は険しく、顔もうわ腫れてはいたが、長身を少し丸めて立つ姿、髪型も、あの頃のままだった。
私は窓口の人に「あの人、Iさんでしょ。 役席の方?」
それとなく尋ねると、主席だという答えが返ってきた。
「・・・やはり、出世はしなかったな・・・」何故か、安堵の気持ちを覚えた。
生き馬の目を抜くような厳しい職場で、あの人が、勤め続けたことの方が、私には驚きだった。
きっと優しさがそのままだからこそ、痛々しく歳を重ね、風貌すらも変わってしまったのだろう・・・
『大丈夫。Iさん。まだ大丈夫!こんな華紺が似合う男性なんて、貴方くらいのものですよ・・・』
今ならできる・・・あの大きな手を取ることも、まっすぐに眼を見つめ、声を掛けることだって・・・
でも、そんな気持ちを、そっとしまい、私に気づかないその人に、心の中でエールを送り・・・
私は・・・銀行を後にした。
 
   
   
   
   
     
       
   
   
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